坂の上スタジオと住まい
 一戸建ての専用住宅を、若い夫婦とその子のためのスタジオ兼住宅にする改修計画である.

 彼らは坂の上の市街地を見下ろす土地に建つ築15年のこの建物を中古で手に入れた.現況はLDK+個室+客間の典型的専用住宅である.周辺も同じようなタイプの住宅が並ぶ住宅地である.それぞれの宅地は植栽が豊かで完成された住環境である一方、通りに対して建物が閉鎖的で高齢化も進んでいることから活気は少ない.
 
 この住宅地に、新しく移住する若い家族の生活がまちに風景として滲み出るような空間的仕掛けをつくりたいというのが計画のとっかかりだった.夫はフリーランスだ.近所に仕事場を持っているが、自宅にも簡単な創作スペースがあると良いという要望があった.そこで、道路に面する客間を、仕事ができる土間のスタジオにしようと考えた.そしてせっかくだから、夫だけでなく子どもの学習や家族の創作の場としても使えるようにする.来客者が気軽に腰を下ろして家族とのお喋りの場にもちょうど良さそうだ.このスタジオは、仕事や創作をきっかけに新しい家族同士と家族と近隣社会の接点を生み出してくれそうである.


敷地 栃木県鹿沼市
規模・構造 スタジオ兼住宅
延床面積 154.30㎡(46.75坪)
総工費
700万円
竣工年月 2018年4月予定


(改修前)庭から南東に市街地を見下ろす.
(改修前の外部)
既存建物の屋根は銅板と和瓦で、部材劣化や雨漏りは確認できない.外壁はALC版で軒が深く出ているため劣化や汚れは殆どない.
(改修前の内部)
内部は汚れや使用感が目立つが、幸い無垢板や漆喰塗りがメインであり、床はサンダー掛けで新しい面をあらわし、漆喰壁は補修塗り程度で十分刷新できそうだ.
(改修前のアプローチ)
敷地西に面する道路に対して、足下の小さな引違窓が開くのみで極めて閉鎖的な立面である.この引違窓の内側は客間だ.「客間」という名ばかりの社交空間をスタジオに改変し、家族と地域社会との新しい接点の場としようと考えている.
(改修前の付属建物)
敷地内には鉄骨造の物置や鉄筋コンクリート造のカーポートがある.