でも一方で都市の道も野良犬みたいなものだ、そこを行く自動車は速度超過の鉄砲玉、うかうかぼーっと歩み出るものならくッと噛まれるから適当な距離がほしい。その適当な距離を、オオジノの遥拝所では「手水舎」に引き受けてもらった。もともとあった6帖の台所を減築して残った屋根付きの半屋外空間に、身支度や荷物を捌けるようにとベンチをつくった、いまでは子どもらが行く人を眺める膝つき舞台になっているようだ。撮影のときは施主の鉢植えのビワを置いてみたのだが、地域公開の盆栽棚としても悪くない。「手水舎」は、オオジノへといく前後の世俗の禊ぎの場と見立てて、施主と呼んでいるここのニックネームだ。