この敷地は水蒸気レベルで水没している!、松澤さんが放ったショッキングな所見である。土地の起伏や周辺の樹木立ちこみ、風の流れや陽と陰の行方、自生する草花や地面や樹木に着床したコケが松澤さんの翻訳を通じて語る。地面の建物を修繕したところで腐朽とのイタチごっこだから、まずはこの湿度を解消しないとね、松澤さんはニコニコしている。まずは敷地内を行く沢を遡上することになる、この敷地に運ばれてくる水がどこかで目詰まりしていないかをチェックするためである。前オーナーが「沢の砂利さらいしないとなあ」が繰り返していたことを思い出した、数年前の豪雨が水上から大量の山砂利を流し下ろし流路が乱れ、そこここで目詰まりして水が離散、つまり水下に流れず途中で滞留してしまう、それもこの「水没」の一因かもしれない。建築工事の前に、土木工事である。建物の修繕から、ランドスケープの微調整にスケールを展開することになる櫃沢の現場、