白泡が立っている、水が乗り上げていてコンクリート土間の踊り場も見えない。昨日の雨がなければ階段状の流路をちょろちょろと優しく流れる沢だ。敷地の南端にあるこの沢は、東の山からきて雨屋の脇にくると洗い場があり、それを過ぎると地下に潜り、6メートルくらいいってまた地上に出て「櫃沢」の沢に合流する。地下の中は深く暗くてつぶさには見えないが入り口の側面が石積みになっているから人の手でトンネル化したのだろう、トンネルの上部を行かないと母屋にはアプローチできない。この沢の名前は知らない。知らないが、この沢は決定的だ。沢を水インフラとして利用しながら、沢の水気が建物に及ばない注意深い関係がある。ここ自然とは離れたいわゆる都市では、インフラは既に社会化され道路に埋設されていて、必要なときに必要な分だけ敷地に引き入れるだけであるが、都市化されていない自然では、インフラは野良犬みたいなもので、噛まれないように注意しながら隙を見て撫でる必要がある。