20240927
縁側が場として使われていたシーンは記憶にないが、腰かけると南を囲う杉山が意外と高くてそれなりに風景として眺められるものになることは知っていたから先行して片付けをした、前の住人が残した家財で足の踏み場もなかったのだ。1から12のチャンネルボタンが前面についたあの家具然とした昭和のテレビがまず目につく、そういえば実家の畳の上にあった。大きく動かすのに苦労するが、それ以外は麦わら帽子や化粧台の椅子、木箱、そして4つか5つくらいの段ボールでどれも軽い。開封して順繰りに手に取ると、薬や古い小銭、保険の契約更新ハガキ、家族の写真や卒業証書などが捨てにくさで宙づりになっている。床が現れると杉板で、板どうしの隙間が光って見える。板のすぐ下は外なのだ、土台と土のあいだから床下を、光が差し照らしている、冬は隙間風で寒そうだな、